RESEARCH NOTES
夜のリズムの研究ノート
夜のリズム診断は、4つの軸(主導・求めるもの・舞台・向き)と伝え方で16タイプに分けています。 それぞれの軸について、国内外の調査や論文で分かっていることを22本のノートにまとめました。 各ノートの大きな文字は「研究で分かった結果」、下の欄が出典です。
- どれも「人はだいたいこういう傾向がある」という話で、あなた個人を測ったものではありません。
- 英語圏の研究が多く、日本と事情が違う可能性があります。国内の調査には、企業や雑誌によるものも含みます(出典の欄に種類を書いています)。
- 数字は、出典で確認できたものだけを載せています。
①主導:リード派とフォロー派
二人の時間の流れを、どちらが動かすか。
リード派(L)
NOTE 01誘う側は、相手の「したい」を低めに読みがち
低め
長く付き合う人ほど、相手の「したい」を実際より低く読んでいた
満足は高いまま
低く読まれた側の、関係への満足や「続けたい」気持ち
長く付き合っているカップルを調べると、男性はパートナーの欲求を実際より低く見積もりがちでした。「断られたくない」と思っている日ほど、その傾向は強くなります。面白いのは、低く見積もられた側は、それでも関係に満足していて「続けたい」と思っていたことです。
リード派のあなたへ「今日は乗ってこないかも」というあなたの読みは、外れていることが少なくありません。誘う前に決めつけず、軽く一言で確かめるほうが、当たります。
- 査読論文Muise, Stanton, Kim & Impett (2016) Journal of Personality and Social Psychology, 110(5)(3つのカップル研究。北米のデータで、日本と事情が違う可能性)
NOTE 02「リードされる側」を想像したことがある人は多数派
約65%
「リードされる側になる」想像をしたことがある女性
約53%
同じく、男性
約6割 / 5割弱
「リードする側になる」想像をしたことがある男性 / 女性
カナダの成人に、55種類の性的な空想について「想像したことがあるか」を尋ねた研究があります。「リードされる側になる」想像は男女とも半数を超え、「リードする側になる」想像も男性で6割、女性で5割近く。55種類のうち「珍しい」と言えるものは、ほんの2つだけでした。
リード派のあなたへあなたのリードを待っている人は、思っているより多いということです。ただし空想と実行は別物なので、相手の「今日はどう?」を確かめる一言はやはり要ります。
- 査読論文Joyal, Cossette & Lapierre (2015) The Journal of Sexual Medicine, 12(2)(1,516人、カナダのオンライン調査。%は概数)
フォロー派(R)
NOTE 03「触れられてから気分が乗る」は、自然なパターン
約3割
体が先に反応して、気持ちがあとから追いつく女性
4割超
長く付き合う人で、「その気がない状態から始めることがある」人
「その気」は、先に湧くとは限りません。親密さや触れ合いをきっかけに体が反応して、そのあとで気持ちが追いつく人がいる。この考え方は専門家のあいだで広く受け入れられていて、女性を対象にした大規模な調査でも、そのタイプは珍しくありませんでした。
フォロー派のあなたへ相手が始めるのを待つのは、欲求が足りないからではありません。あなたの欲求は「後から来る」だけです。それを相手にも知っておいてもらうと、待ち方が誤解されにくくなります。
- 査読論文Basson (2000) Journal of Sex & Marital Therapy, 26(1)(臨床経験にもとづく理論)
- 査読論文Carvalheira, Brotto & Leal (2010) The Journal of Sexual Medicine, 7(4)(3,687人、ポルトガル語圏の女性)
NOTE 04誘われたら嬉しい人は多いのに、誘えない人も多い
75%
彼女から誘われると「嬉しい」男性※1
72%
「彼氏に自分からは誘えない」女性※1
3割弱
自分から誘うことが「ある」女性※2
国内の雑誌の調査では、「誘われたい側」と「誘えない側」がきれいにすれ違っていました。少し古い研究ですが、自分の望みを示せる既婚女性ほど、回数も満足度も高かったという結果もあります。
フォロー派のあなたへフォロー派のあなたが、たまに一言だけ誘ってみる。それだけで相手が喜ぶ確率はかなり高いということです。主導はしなくていい。「したい」と伝えるだけで十分です。
- ※1メディア調査Oggi.jp 編集部調査(20〜39歳男性110人・20〜30代女性100人)
- ※2メディア調査anan 2023年7月調査(25〜39歳の女性300人・男性100人)
- ※3査読論文Hurlbert (1991) Journal of Sex & Marital Therapy, 17(3)(100人、米国の既婚女性)
②求めるもの:安心派とスリル派
安心できるいつもの形か、新しさやスリルか。
安心派(S)
NOTE 05「なじみの安心」で満たされる人が、はっきりいる
分かれる
「新しい刺激」で満たされる人と、「なじみの安心」で満たされる人
高い
安心して信頼できる関係にいる人の、性的な満足度
カップルに毎日の記録をつけてもらった研究では、「新しくて刺激的な日」に満たされる人と、「なじみがあって落ち着いた日」に満たされる人が、はっきり分かれました。不安を感じやすい人では、なじみのある落ち着いた日に、ふだんの満足度の低さがすっかり消えていました。20年分の研究をまとめても、安心して信頼できる関係にいる人ほど性的な満足度が高いという結果です。
安心派のあなたへ「刺激がないとダメ」は万人の話ではありません。あなたにとっては、同じ形を守ることそのものが満足の源です。それを「退屈」と呼ぶ必要はありません。
- 査読論文Schrage, Impett, Topal, Harasymchuk & Muise (2026) Social Psychological and Personality Science(390組・21日間の日記研究。測ったのは関係への満足度)
- 査読論文Stefanou & McCabe (2012) The Journal of Sexual Medicine, 9(10)(1990〜2011年の研究のまとめ)
NOTE 06「飽き」は、思っているほど大きな敵ではない
9.5% / 8.3%
セックスレスの理由に「飽きた」を挙げた男性 / 女性※1
27.9%
いちばん多かった理由「育児と家事が忙しくなった」※1
よく知る相手
女性がオーガズムに至りやすいのは、一夜限りの相手より※2
国内の既婚・事実婚の人への調査で、セックスレスの理由に「飽きた」を挙げた人は1割に届きませんでした。いちばん多かったのは、忙しさです。米国の大学生の調査でも、女性は一夜限りの相手より、よく知る相手との関係のなかでオーガズムに至りやすいと報告されています。
安心派のあなたへ同じ相手と同じ形を重ねることは、快感の敵ではなく味方です。気をつけたいのは「飽き」より「忙しさ」。いつもの形を守るために、時間のほうを守ってください。
- ※1メディア調査浜松町第一クリニック「セックスレスに関する意識と実態調査2023」(3,000人。クリニックのネット調査。理由の設問はレス経験者のみ)
- ※2査読論文Armstrong, England & Fogarty (2012) American Sociological Review, 77(3)(米国の大学生。長い関係にそのまま当てはまるとは限らない)
スリル派(T)
NOTE 07二人で新しいことをした日は、欲求が上がる
+25〜34%
二人で新しいことをした日に、セックスをする確率が上がった幅
75% vs 58%
週末に新しいことをした組 vs 何もしなかった組の、セックスをした割合
取り入れている
性生活に満足している人ほど、新しい体位やファンタジーを
カップルに毎日の記録をつけてもらった研究と、週末に「新しいこと」をしてもらう実験で、パートナーと新しくて刺激的な活動をした日は性的な欲求が高く、セックスの確率も上がりました。3年以上付き合う人たちへの大規模な調査でも、性生活に満足している人ほど、新しい体位やファンタジーを取り入れていました。
スリル派のあなたへあなたの「新しいことをしたい」は、関係を長持ちさせる方向に働く欲求です。ただし研究でいう「新しいこと」は、性行為そのものより「二人で初めてのことをする」こと。行き先を変えるだけでも効きます。
- 査読論文Muise, Harasymchuk, Day, Bacev-Giles, Gere & Impett (2019) Journal of Personality and Social Psychology, 116(2)(カナダのカップル研究(日記+実験))
- 査読論文Frederick, Lever, Gillespie & Garcia (2017) The Journal of Sex Research, 54(2)(38,747人、米国のオンライン調査。相関であり因果ではない)
NOTE 08「珍しい」と思っている願望も、たいてい多数派
ほぼ全部
55種類の性的な空想のうち、多くの人が想像したことがあるもの(珍しいのは2つだけ)
82%
「いつもと違う場所で」を想像したことがある人(男女とも)
高い
性的なマンネリが少ない人の、満足度
成人の空想を調べた研究では、55種類のうちほとんどが「多くの人が想像したことのあるもの」でした。同棲しているカップルを調べた別の研究では、性的なマンネリが少ない人ほど満足度が高く、マンネリは満足度ともっとも一貫して結びつく要因でした。
スリル派のあなたへあなたの提案は、たいてい相手も一度は想像したことのあるものです。恥ずかしがらずに出していい。ただし、相手に「今日はいい」と言える拒否権を必ず添えてください。
- 査読論文Joyal, Cossette & Lapierre (2015) The Journal of Sexual Medicine, 12(2)(1,516人、カナダ。空想であり実行ではない)
- 査読論文de Oliveira, Štulhofer, Tafro, Carvalho & Nobre (2023) The Journal of Sexual Medicine, 20(1)(1,223人、ポルトガル。同棲1年以上の人)
③舞台:ムード派とストレート派
雰囲気やシチュエーションが、どれだけ必要か。
ムード派(M)
NOTE 09「場所・状況・相手との関係」で興奮が変わる人がいる
アクセルとブレーキ
性的な反応を決める2つの仕組み。それぞれの感度は人によって大きく違う
人それぞれ
場所・状況・相手との関係が、興奮にどれだけ影響するか
性的な反応は「アクセル(興奮する仕組み)」と「ブレーキ(抑える仕組み)」の2つのバランスで決まり、その感度には大きな個人差がある。この考え方は多くの研究で確かめられています。女性向けに作られたチェックリストには「場所や状況」「相手との関係」「ちょっとしたことで途切れやすいか」といった項目があり、雰囲気の重みが人によって違うことが示されています。
ムード派のあなたへあなたが明かりや音や順番を気にするのは、気取りではなく、ブレーキが敏感な人が自分で自分のブレーキを外しているということです。準備は、あなたにとって本気の一部です。
- 査読論文Bancroft & Janssen (2000) Neuroscience & Biobehavioral Reviews, 24(5)(理論の提唱。2023年のまとめ(152の研究)でも支持)
- 査読論文Graham, Sanders & Milhausen (2006) Archives of Sexual Behavior, 35(4)(655人の女性の回答から作られたチェックリスト)
NOTE 10段取りを組んでも、満足度は下がらない
差なし
計画して始めた夜と、自然に始まった夜の、満足度
気が散ること
体の反応をいちばん鈍らせていたもの(実験)
音楽
かけると、主観的な興奮や相手の魅力の評価が上がった(女性)
「自然に始まるセックスのほうが良い」と多くの人が思っていますが、実際に直近のセックスが計画的だったか自然発生だったかで、満足度は変わりませんでした。別の小さな実験では、「気が散っている」ことが体の反応をいちばん鈍らせていて、音楽は主観的な興奮や相手への魅力の評価を後押ししていました。
ムード派のあなたへ「準備した夜は冷める」という思い込みは、研究では裏づけられていません。あなたの段取りは、気が散る要素を減らすための正当な工夫です。
- 査読論文Kovacevic, Tu, Rosen, Raposo & Muise (2023) The Journal of Sex Research(303人の調査と、121組・21日間の日記研究)
- 査読論文Hamilton & Meston (2013) The Journal of Sexual Medicine, 10(10)(30人の小さな実験(女性))
- 査読論文Marin, Schober, Gingras & Leder (2017) PLOS ONE, 12(9)(96人。効果があったのは女性のみ)
ストレート派(D)
NOTE 11「こうしてほしい」を率直に言える人ほど、満足度が高い
高い
性について率直に話せている人の、欲求・興奮・オーガズムのどれも
さらに強い
結婚している人では、その結びつきが
満足度が高い
自分の好みをはっきり伝える人ほど(相手の理解も深まる)
多くの研究をまとめた分析で、性について話し合えている人ほど、欲求・興奮・オーガズムのどれもが良好でした。その結びつきは、結婚している人でいっそう強くなります。長く付き合うカップルの研究でも、自分の好みをはっきり伝える人ほど、相手の理解が深まり、満足度が高いという結果です。
ストレート派のあなたへ前置きを飛ばして本題に入るあなたの流儀は、雑さではなく「要望を遠回しにしない」強みです。研究が支持しているのは、まさにその率直さです。
- 査読論文Mallory, Stanton & Handy (2019) The Journal of Sex Research, 56(7)(48の研究をまとめた分析。相関であり因果ではない)
- 査読論文MacNeil & Byers (2009) The Journal of Sex Research, 46(1)(104組、カナダ)
NOTE 12理想のテンポは、人によって大きくばらつく
少し長め
前戯も挿入も、「理想」は「実際」より(男女とも)※1
19.1分 / 11.6分
理想の挿入時間の平均(男性 / 女性)※2
4人に1人以上
「5分未満で十分」と答えた女性※2
カップルの調査では、前戯も挿入も「理想」は「実際」より少し長く、前戯の理想の長さに男女差はありませんでした。ただし女性は、パートナーが望む長さを実際より短く見積もる傾向がありました。国内の大規模な調査では、理想の時間そのものが人によって大きくばらついています。
ストレート派のあなたへあなたの速いテンポを好む人は確実にいます。ただ「相手の希望を短く見積もる」のは誰にでも起きるので、一度だけ「もっと長いほうがいい?」と聞いておくと、テンポの正解が二人で決まります。
- ※1査読論文Miller & Byers (2004) The Journal of Sex Research, 41(3)(152組、カナダ)
- ※2大規模調査TENGAヘルスケア「日本性生活白書2024」(19,779人。企業のネット調査。「挿入時間」の設問)
④向き:尽くす派と味わう派
相手が満たされるのが喜びか、自分が満たされる時間を大切にするか。
尽くす派(G)
NOTE 13相手を悦ばせたい人は、長く付き合っても欲求が冷めにくい
冷めにくい
相手を悦ばせたい気持ちが強い人の、長く付き合ったあとの欲求
満たされている
そういう人のパートナーが感じていたこと(関係への満足も高いまま)
長く付き合うカップルを4か月追った研究では、「相手の求めているものに応えたい」気持ちが強い人ほど日々の欲求が高く、時間がたっても欲求が落ちにくいことが分かりました。別の研究では、そういう人のパートナーは「自分の求めていることを満たしてもらえている」と感じ、関係への満足が高いままでした。
尽くす派のあなたへあなたの「相手のために」は、自分の欲求をすり減らすどころか、長持ちさせる方向に働いています。尽くす夜のあとに満たされているのは、相手だけではありません。
- 査読論文Muise, Impett, Kogan & Desmarais (2013) Social Psychological and Personality Science, 4(3)(44組の小さな研究(21日間の日記+4か月の追跡))
- 査読論文Muise & Impett (2015) Social Psychological and Personality Science, 6(2)(2つのカップル研究)
NOTE 14自分を置き去りにした尽くし方は、本人の満足を下げる
下がる
自分の欲求を無視して相手を優先したときの、本人の満足度
55.4%
「言いたかったのに飲み込んだ」経験がある女性
42.4%
飲み込んだ理由の1位「相手を傷つけたくない」
カップルに毎日の記録をつけてもらった研究では、相手に応えたい気持ちが強い日は二人とも満足が上がった一方、「自分の欲求を無視して相手を優先する」尽くし方は、本人の満足を下げていました。米国の女性への調査では、半数以上が本音を飲み込んだ経験があり、理由のいちばんは相手への気遣いでした。
尽くす派のあなたへ尽くすこと自体は良い。逆効果になるのは「自分の快さを後回しにしたまま」尽くすときだけです。相手を傷つけたくない気持ちが、あなたの本音を隠していないか、ときどき確かめてください。
- 査読論文Impett, Muise & Harasymchuk (2019) Journal of Social and Personal Relationships, 36(8)(122組・21日間の日記研究)
- 査読論文Herbenick et al. (2019) Archives of Sexual Behavior, 48(8)(1,008人、米国の女性(無作為に選んだ調査))
味わう派(E)
NOTE 15自分の感覚に集中できる人ほど、満足も自尊心も高い
高い
行為中に自分の感覚に集中できる人の、満足度と自尊心
相手にも良い
その「感じ取る力」が、パートナー側の満足に与える影響
4回で改善
自分の身体感覚に注意を向ける練習をした女性の、欲求・興奮・満足
行為中に、自分の感覚へ「評価せずに」注意を向けられる人ほど、自尊心と関係への満足が高く、その「感じ取る力」はパートナー側の満足や二人の噛み合い方にも良い影響を与えていました。欲求の低下に悩む女性に、自分の身体感覚に注意を向ける練習をしてもらった研究では、わずか数回で欲求・興奮・満足が改善しています。
味わう派のあなたへ「味わう」は自己中心ではなく、研究でいう「性的マインドフルネス」そのものです。あなたが深く浸っているとき、恩恵を受けているのは相手もです。
- 査読論文Leavitt, Lefkowitz & Waterman (2019) Journal of Sex & Marital Therapy, 45(6)(194人、米国の既婚者)
- 査読論文Leavitt et al. (2021) Archives of Sexual Behavior, 50(1,473組の新婚カップル)
- 査読論文Brotto & Basson (2014) Behaviour Research and Therapy, 57(117人。欲求の低下に悩む女性への、90分×4回の練習)
NOTE 16「自分が気持ちよくなること」は、実は最多数派の優先事項
22.2%
セックスでいちばん大切なのは「自分が快感を得られること」と答えた女性(全世代で1位)※1
経験で育つ
「自分も快感を受け取っていい」という感覚は、生まれつきではなく※2
下がる
自分の反応を第三者のように監視しているときの、興奮※3
国内の女性への調査では、セックスでいちばん大切なことは「自分が快感を得られること」が、どの世代でも1位でした。豪州の若者を数年追った研究では、「自分も快感を受け取っていい」という感覚は生まれつきではなく、経験とともに育っていくものでした。一方で、自分の反応を第三者のように監視すると興奮が下がることも実験で示されています。味わうことと採点することは、別物です。
味わう派のあなたへ味わう側に立つのはわがままではなく、多くの人が本当は望んでいることです。ただし「ちゃんと感じられているか」を採点し始めると、逆に感じにくくなります。目を閉じて、点数はつけないでください。
- ※1メディア調査月刊TENGA 2023年調査(Z世代〜バブル世代の女性)(約2,500人。企業アンケート。媒体記事経由で確認)
- ※2査読論文Hewitt-Stubbs, Zimmer-Gembeck, Mastro & Boislard (2016) Behavioral Sciences, 6(1)(295人、豪州の17〜25歳)
- ※3査読論文van Lankveld, van den Hout & Schouten (2004) Behaviour Research and Therapy, 42(8)(49人、男性のみの実験)
伝え方:言葉派と空気派
してほしいことを言葉にするか、態度や空気で伝えるか。
言葉派(O)
NOTE 17話す「量」より、話し方の「質」が満足度に効く
高い
性について話し合えている人の、性的な満足度
約1.7倍
「どう話せたか」が満足に効く強さは、「何回話したか」の
2つの道
好みを打ち明けると、「相手の理解が深まる」と「親密さが増す」の両方から満足につながる
多くの研究をまとめた分析で、性について話し合えている人ほど性的な満足度が高く、なかでも「どう話せたか」が「何回話したか」よりずっと強く満足と結びついていました。長く付き合うカップルの研究では、好みを打ち明けることが、相手の理解が深まる道と、親密さが増す道の両方を通って満足につながっていました。
言葉派のあなたへ言葉派のあなたの強みは、たくさん話すことではなく「どう話すか」にあります。注文ではなく気持ちの側から伝える。それだけで、あなたの言葉はいちばん効く形になります。
- 査読論文Mallory (2022) Journal of Family Psychology, 36(3)(93の研究・38,499人をまとめた分析。相関であり因果ではない)
- 査読論文MacNeil & Byers (2009) The Journal of Sex Research, 46(1)(104組、カナダ)
NOTE 18パートナーと希望を話したことがある人は、約3割
約3割
恋人・パートナーと、セックスの希望を話したことがある人(若い世代も大人も)※1
下がる
「性の話をするのが怖い」と感じて、避けたり遠回しにする人の満足度※2
高い
行為のあとに気持ちを言葉にする人の、信頼・満足・親密さ※3
国内の大規模な調査では、恋人・パートナーとセックスの希望を話したことがある人は少数派でした。カップルの研究では、「性の話をするのが怖い」と感じるほど話題を避けたり遠回しになり、そのぶん満足度が下がっていました。一方で、行為のあとに気持ちを言葉にする人ほど、信頼・満足・親密さが高いという報告もあります。
言葉派のあなたへ言葉にできるあなたは、日本ではまだ少数派です。だからこそ、その言葉は相手にとって貴重な手がかりになります。ただし行為の最中は非言語のほうが効くという研究もあるので、言葉の出番は「前」と「あと」に置くのがおすすめです。
- ※1大規模調査ジョイセフ「性と恋愛に関する意識調査2025」(9,018人。NGOのWeb調査。性別・世代別の細かい数値は非公開)
- ※2査読論文Theiss & Estlein (2014) Western Journal of Communication, 78(4)(85組、米国)
- ※3査読論文Denes (2012) Western Journal of Communication, 76(2)(行為後の会話(ピロートーク)の研究)
空気派(Q)
NOTE 19行為の最中は、言葉より非言語のほうが満足と結びつく
非言語
行為の最中に満足度と結びついていた伝え方(言葉は関係なし)
二人の満足
言葉か非言語かより、「その伝え方に二人が満足しているか」が決め手
ほぼ非言語
実際の行為中の伝え方(聞き取り調査)
米国の調査では、行為中に声や表情、体の反応で快感を伝えている人ほど性的な満足度が高く、言葉での表現は満足度と結びついていませんでした。別の研究では、言葉か非言語かという型より、「その伝え方に二人が満足しているか」が満足度を左右していました。聞き取り調査でも、行為中はほぼ非言語で、「言葉は流れを壊す」と感じる人が多くいました。
空気派のあなたへ空気で伝えるあなたのやり方は、行為の最中に限れば、研究がいちばん支持している伝え方です。「言葉にしないから伝わっていない」と心配する必要はありません。
- 査読論文Babin (2013) Journal of Social and Personal Relationships, 30(3)(207人、米国。ひとつの調査での結果)
- 査読論文Blunt-Vinti, Jozkowski & Hunt (2019) Journal of Sex & Marital Therapy, 45(3)(398人、米国)
- 査読論文Lutmer & Walker (2024) Archives of Sexual Behavior, 53(4)(78人への聞き取り)
NOTE 20同じ合図でも、読みはズレることがある
ズレる
同じ合図でも、男女で受け取る意味が違っていた
読める
長く一緒にいる二人は、互いの好みをかなり正確に
前向きに
満足に効いていたのは、正確さより「相手を前向きに読む」こと
米国の大学生は、同意は「はっきり伝えるべきもの」と考えながら、実際には表情や動きで伝えていました。別の研究では、同じ合図でも男女で受け取る意味が違っていました。一方で、長く一緒にいるカップルは互いの好みをかなり正確に読めていて、満足に効いていたのは正確さそのものより「相手を前向きに読むこと」だった、という報告もあります。
空気派のあなたへ察し合いは、慣れた相手とならちゃんと機能します。ズレが起きやすいのは、新しい相手と、新しいことを試すとき。そのときだけ、一言の保険をかけてください。「これ、いい?」で十分です。
すべての人へ
日本の現状と、相性をどう考えるか。
NOTE 21日本の現状:満足している人は、3人に1人
33%
恋愛・性生活に満足している日本人(29か国の平均は60%)※1
最下位
29か国の中で、4年連続※1
64.2%
セックスレス(1か月以上ない)の夫婦※2
45.3% / 52.8%
この1年、セックスがなかった男性 / 女性※2
国際調査では、日本は恋愛・性生活の満足度が調査した国の中でいちばん低い状態が続いています。国内の調査でも、セックスレスの夫婦は多数派で、この1年セックスがなかった人は男性で半数近く、女性では半数を超えています。
すべての人へうまくいっていないと感じているのは、あなただけではありません。この診断が「実はこういうのが好き」を口にする入口になれば、それだけで少数派から抜け出せます。
- ※1大規模調査Ipsos「Love Life Satisfaction 2026」(29か国・23,268人のオンライン調査。日本の回答者は都市・高学歴寄り)
- ※2大規模調査ジェクス「ジャパン・セックス・サーベイ2024」(5,029人、2023年11月実施。コンドームメーカー主体のネット調査。日本性科学会協力)
NOTE 22相性は「合っているか」より「育つと思えるか」
感じ方
満足を左右したのは、実際に好みが一致しているかより「合っていると感じられるか」
育つと思う人
「相性は努力で育つ」と考える人ほど、本人もパートナーも満足度が高い
理解
相手の好みを正しく知っていることが、二人の満足につながる
性的な満足をいちばん左右していたのは、好みが実際に一致しているかではなく「相性が合っていると感じられるか」でした。「相性は努力で育つ」と考える人ほど本人もパートナーも満足度が高く、「運命の相手」を信じる人はズレが出たときに落ち込みやすいという結果もあります。相手の好みを正しく理解していることも、二人の満足につながっていました。
すべての人へこのタイプ分けは「運命の相手を見つける道具」ではなく、相手の好みを理解するための地図です。星が少ない組み合わせでも、育てる気がある二人なら、研究上はむしろ有利です。
- 査読論文Mark, Milhausen & Maitland (2013) Sexual and Relationship Therapy, 28(3)(133組、大学生中心)
- 査読論文Maxwell, Muise, MacDonald, Day, Rosen & Impett (2017) Journal of Personality and Social Psychology, 112(2)(6つの研究・約1,900人、北米)
- 査読論文Purnine & Carey (1997) Journal of Consulting and Clinical Psychology, 65(6)(76組、1990年代の米国)